(4)達弥西心のわかりやすい話「経営」

達弥西心のわかりやすい話「経営」

2009年11月

●あきないを始めるには(1/3) - HMU 達弥西心

あきないは、自分でうまくやってやろうとすればするほど、うまくいきません。

商売なんて小手先でやれると思っている人は、寂しい人です。商売は、うまくやるものではなく、いのちをかけてやるものです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (47/47) - HMU 達弥西心

一つの組織は人が代わっても、たとえば社長が突然死んだ翌日から他の者が社長になっても、何ごともなかったかのように進められるような仕組みでないと駄目だと思います。

それは人生でも一緒です。自分がいなくなったら、もうその時点で終わってしまうという流れではいけないのです。自分がいなくなっても、誰かが代わりにすぐやれるような仕組みというのが、もっとも望ましいのです。

天を味方につけるというのは、天がいいというやり方をしておくということ、それが一番いいということです。そのやり方にチャレンジしたい人は、自分のやり方をやってみますが、一時的にはうまくいきますが続かないのです。

私の言っているやり方に変えていくことです。たとえば、在庫がある業種なら在庫を早く減らすにはどうしたらいいかとか、在庫がこれくらいの数になったら補充すると決めたら、それ以上はいくら今安く仕入れられるといっても絶対に仕入れない。多少高くついても、この数字を切ったら注文するという形の、ごく当たり前のことをコンスタントにやっていくことです。コンスタントにやっていくことで、廻り始めます。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (46/47) - HMU 達弥西心

私が経営について話をしていると、皆さんは世間で言われている経営を思い浮かべて、難しいもので特別な人がするものだと思っていると思います。しかし、私は五歳の子どもを動かせる仕組みでないと経営というものはできないと思っているのです。

特に、頭がいいと思っている人ほど、自分流の仕組みにしてしまいます。私の右腕の部下が辞めたときに、さっぱり仕事の仕組みが分かりませんでした。見事に業務をこなしていて、全部自分が指令を出して一手に引き受けていましたが、辞めた後まったく分からなかったのです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (45/47) - HMU 達弥西心

大人ならそんなバカなことはしないと思うかも知れません。ところが、やるんです。バタバタして慌てたりもします。そこで誰もが知ることができる、ボーッとしていてもやれる仕組みを作っておかなくてはならないのです。それには、自分の頭をあまり過信しないこと、しかも最悪の事態を止められるという仕組みでなくてはなりません。これをバカヨケとかポカヨケと呼ぶのです。ポカしていても大丈夫、ここで止まってくれるという仕組みです。

ここでは、一枚の紙が止めるのです。この紙がバカヨケ。美しくなくてもいいから、確実なことです。在庫が分からなくなることほど、ロスはありません。

こんなことからも、やはり一つ一つ確実に、コツコツ、コツコツとやっていくことを積み重ねていくこと、それが最終的に残るということだと思います。

私はあまり人間の頭を過信しないので、誰でもやれる仕組みを作ろうといつも思っています。誰でもやれるということは、誰でも参加できるし、いつ担当が変わってもとにかく流れていく仕組みを作り上げたいと思っています。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (44/47) - HMU 達弥西心

この仕組みには、いきさつがあります。かかとのない靴の販売を始めた頃、テレビの情報番組で取り上げられたので、すごい勢いで売れました。これは売れるということで、大きなサイズから小さなサイズまでたくさん注文したのです、が、途端に売れなくなって、在庫が山ほどになったことがありました。

あるアバウトなスタッフがいまして、この人は履かせてみないとサイズが分からないからと2足持って出ていくのです。二つのサイズを履いてもらって、その時結論が出ればいいのですが、「考えておいてください」とお客に預けてくるのです。そして、(しかも)どこに預けたか分からなくなってくるのです。棚から2個なくなっているのは確かですが、どこに行ったのかが分からないのです。最初のうちは、手帳に書いておけと言っていたのですが、どうにもならないので、あることをしました。

靴を持ち出す時は、一つの箱につき1枚「どこどこへ持ち出す」ということを書くコピー用紙を作って、セロテープで貼らせたのです。持って帰らなかったら、そこにピラピラと1枚貼ったままです。3個持ち出したら、3枚貼ってあります。しかも、どこへ持っていったということが書いてありますから、あそこだと気がつきます。持って帰ってきたら、箱を戻して紙を捨てるというやり方です。

これを見たある会社の人が、コンピュータで管理しないのかと笑いました。こんなことやっている会社はありませんよ、と。でも私は、これでいいのです。このスタッフを使って仕事をしなくてはならないのです。このスタッフは、どこへ持っていったのか忘れてしまうし、向こうから「取りに来てください」と言われて取りに行ったこともありましたが、それでやっているのです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (43/47) - HMU 達弥西心

この仕組みで、倉庫の方はどうやっているかと言いますと、大きな箱に入っているシャンプーを3個出したら箱に貼ってある紙に書きます。帳簿ではありません。そういう立派なものをつくるから分からなくなるのです。たとえば、元は100あったら、3個出したので97と引き算をして書いておくだけです。その日に3個無くなったことが分かります。あとは、紙に書いてある97という数字と、箱の中の97個が合えばいいわけです。それなのに、在庫表とかコンピュータに一度入れてとかするので、分からなくなってしまうのです。

これなら五歳の子どもでもできるでしょう。足りない分だけを、持ってきてと言えばいいのです。それが、五歳の子どもでもできる仕組みと言っているのです。大人がボーッとしながらやってもできるようにしないと間違えます。出したらちゃんと帳簿につけていけよ、とやってしまうと忘れてしまうのです。忘れるんです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (42/47) - HMU 達弥西心

それからもう一つあります。仕組みというものは、五歳の子どもに用事を言いつけてもその子ができるようなものでなくてはならないということです。コンピュータや帳簿では、一度数字に置き換えたり、頭の中で組み立てたりしていますが、そういうことをしなくても済むような仕組みです。

たとえば在庫管理は、うちでも最初しょっちゅう合わなくて大変でした。今は、棚にシャンプーなら8個が決まった場所に並んでいます。その日に3個出ると棚から3個なくなります。夕方にふと見ると3個分スペースが空いているので、見ただけで3個出たということが分かります。帳簿を見なくても3個無くなっているということは、倉庫に3個取りに行って3個埋めておいて一日は終了です。あくる日の朝は、全部揃ったところからスタートする、という仕組みです。

これにたどり着くまで、みんな在庫表とかノートを作ったりしました。でも、そうすると、つけ忘れたりして分からなくなることがありました。それで、こういう仕組みにしたのです。すると常に把握できて、出た分だけが無くなり、無くなった分だけ補充するという形にしたのです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (41/47) - HMU 達弥西心

さてそうすると、切り札を何にするかということですが、経営者だったら人に対しての苦手意識とか、強いところ弱いところを持たないことではないかと思いますし、自由自在に組織を動かせる人、その組織の中を動き回れる人、人に対して常に距離感が等間隔に保てる人ではないかと思います。そして社員としての切り札は、報告習慣が身についているということだと思います。

経営者は人に対して得手不得手がないことが切り札だといいましたが、私ももちろん自分で会社を始めた頃には、得手不得手がありました。社員は、自分が遠慮しなくてはならないような人を採用しなければいいのですから、まあ良かったのです。業者さんには得手不得手が最初はありましたが、だんだんなくなりました。これを解消するには、こころの次元を上げていくしかないのです。天の意向に沿った経営をするしかありません。経営者は天とつながってやっていくしかないということです。

私が経営者だから、経営の話をしているのではないということに、ここでつながってきますが、結局は、人生経営ということになってくるのです。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (40/47) - HMU 達弥西心

この報告が切り札になっている人は、どこでも通用すると思います。つまり、経営者というのが自由自在に操って動き回れる人だとするならば、その社員は自由自在に操られて動く人、ということです。

ここで、自分の都合を考えたり、人の都合を考えたり、蓋をしてしまったり、ちょっといろいろな思惑から報告を曲げたり、ちゃんと全部終わったら報告しようとかすると、組織の中でやっていくのは無理です。自分でやっていくのならいいのですが、それでも誰かと関わっていくことになりますから、言うべきことは言わないといけないし、それができないと自分を守るために嘘をついたりすることにもなります。

●つぶれない経営2 -私のおもう経営- (39/47) - HMU 達弥西心

きちんとマメに報告してくる人のことは状況が全部分かりますから、ここはアドバイスしておこうとか、これはストップかけないととか閃きます。報告を受けないと分からなくなります。

会社の仕事、あるいは組織の仕事をしているときに、もしかしたら組織を危うい方向へ持って行ってしまうかもしれません。しかも最後に責任を取るのは、その報告しなかった人ではなくて、(たとえその人が責任をとって会社を辞めたとしても)最後の後始末はトップがする、主がすることになります。だからこそ主には、ちゃんと報告をしておかなくてはならないのです。

もちろん自分に都合のいいことだけを報告したのでは駄目で、自分に都合の悪いこともしなくてはなりませんし、言っておかなくてはならないことは絶対に報告しなくてはなりません。一番いいのは、一部始終報告しておくことです。とても大事なことだと思います。
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