私は「作業」と「仕事」は別物だと考えている。作業は目の前のことをただこなせば進んでいく。しかし仕事となると、そうはいかない。この作業が次にどうつながっていくか、つながることで連動して、どこがどのように動くか、その先にどんな成果が見込めるか、その成果は投資に対して充分なものであるか、それら全般にわたって、はっきりと描けていなければならない。
この「描く」ことこそ、経営者の本分である。人生経営も同様である。
そして成果あるいは実績こそが、仕事の目的である。仕事のできる人は、実績の出せる人である。
たとえば自転車に乗って遠くまで行くには、ペダルをこぐ作業は、べダルの周りの大きな歯車を動かし、それに巻きつくチェインを動かし、後輪の車輪を動かして前へと進むのだ。
一つひとつの作業が、確実に連動して効率よく動いている。
しかし、これはあくまで基本の仕事である。この仕事にハンドル操作、ブレーキ操作、交通ルールの知識などが加わる。すべて微妙にうまく連動している。この全般の動きが、「仕事」というものである。
この全般の仕事を鮮やかに描いているか。その一つひとつの作業の連動を、順序通りに、あるいは同時進行して、詳細にわたって、手に取るように描けているか。それこそが仕事をやっている自分自身への問いかけである。
一つの仕事の指示を単なる作業としかとらえることのできない人は、仕事ができない。自分の作業が終わったらそれでおしまいにしてしまう。
その作業は必ず連動しているのだから、流れ出した水の流れを追いかけるように、次へとうまく連動していくように自ら手を打たなければ、全体の仕事にならないし、成果も望めない。
水はもっとも低いところまで流れ着くと落ち着く。仕事の完了である。ここまで見届けなくてはならない。
先を見通すトレーニング、つながりを描くトレーニング、それに手を打つトレーニングを。
HMU 達弥西心